難破船まじやみの冒険

迷いながら日々生きています

僕らは日々何かに出会い、忘れ、そして思い出す

www.youtube.com

 

5月2日に千秋楽を迎えたミュージカル「fix you」ですが、個人的な感想を言えばめちゃくちゃおもしろかったです。

ちゃんと楽曲も「ミュージカル」を名乗るだけの質・量が揃ってますし、物語のメッセージ性もしっかりあって、でも昨年の「諦めが悪い男たち」ほどしんどくはないはず。

そして観劇を終えた僕は「このfix you、『ここんとこボイメン追えてないな~』ってひとにこそ届いてほしい物語だったな~」という感想を抱いたので、めちゃくちゃお節介だなぁと思いつつも、このブログを書くことを決意した次第です。

 

なのでこのブログはミュージカル「Foodtruck Fix You ~full course~」のネタバレをやんわりと含んでいます

いずれにせよいつもの通り、読み進められる場合は自己責任でお願いいたします。

 

↓Aコース・Bコースともに、5月6日 23:00まで購入可能です↓

www.openrec.tv

 

まず「fix you」ってなんやねん

とりあえずミュージカル配信ページより、概要とストーリーのあらすじ説明を拾ってみました。

【イベント概要】

昨年10月から始まった、配信生舞台「Foodtruck FixYou」4オムニバス構成が、実はひとつのお話だった!

配信舞台の完結編として、いよいよ【舞台】から【ミュージカル】へ、開催決定!!

<ストーリー>

彼らの元にフードトラック『FixYou』が訪れ、小さく背中を押して消えた後──

季節は春になっていた。

もう会えないだろうと思っていたシェフが、再び彼らの元を訪れる。

「あなたの力が必要なんです──」

シェフ達が抱える問題と、シェフに救われた人々の過去と今が交錯する。

っていうかそもそも、クッキンジャーってなんなんだ!?

心を満たしお腹がすくような非日常グルメミュージカルが開幕!

https://www.openrec.tv/live/nqr6wdk0e86 より)

 

そういえば昨年のうちから、舞台みたいなものの配信がはじまってるなぁとは思っていたのですが……当方辻本推しなもので、舞台といえば「1518」の方が優先度が高かったこともあって、つい最近までピンときてなかったのが正直なところです。

 

結局僕が初めてfix youの配信を観たのは、辻本さんが出演した第4話のDグループ、つまりは配信舞台の最終回になってからでした。

この時点で配信開始から5か月……長らくシカトこいてすいませんでした……

 

 

この回を見て、初めて僕はfix youについて「超理戦隊クッキンジャーなる戦隊ヒーローが、料理を出すことで人々の悩みを解決していく話なんだ」ということを理解したのですが……肝心のあらすじ、もっとはっきり提示した方がよくないか?というのは、ミュージカル本編が終わった今でも思っています。だって宣伝用のポスターとか見ても「食べ物」とか「戦隊ヒーロー」みたいな要素があんまり出てないんだもの……コンセプトを前面に打ち出したら、もっと軽率に刺さる人いると思うんだけどなぁ……

 

その配信4話分のストーリーを踏まえて、今回のミュージカルへと突入していくのですが……配信で示された物語は「予備知識として知ってるとミュージカルのストーリーを理解するうえでいくぶん楽になる」くらいのものなので「配信を見逃したからミュージカルはやめときます」みたいな遠慮はいりませんよ!!!!(大声)

 

超個人的感想

今回の主役?のクッキンジャーは、十数年前に放送された戦隊シリーズのひとつで、困っている人に料理を出すことで、その人の大切な記憶を取り戻すことを生業?にしている戦隊ヒーローという設定です。当時の視聴率は歴代最低レベルで、時代の流れとともに世間から忘れられ、その存在が消滅しようとしているところなんだそうで。

そこで世間から忘れられかけたクッキンジャーたちが、消滅の危機を回避するため、そして自分たちヒーローが課せられた役目を果たすために足掻き、その行動が周りの人々を変えていく……というのが、ミュージカル本編ののあらすじ……かなぁ。(ここがこうでこうなった!みたいな感想がド下手なもので、いまいち自信がありません)

 

この作品を観て、僕は今までに通ってきたジャンルや推したちのことを思い出しました。

別のブログでも書きましたが、ボイメンにたどり着くまでに僕はいろいろなジャンルを通ってきて、そしてそのほとんどは、いまとなっては僕の中で「過去のもの」になってしまっています。

当時それなりに熱量を持って推した彼らのことを、何かの折に思い出すことは確かにあります。けれども普段の暮らしの中では、彼らは意識の奥底に沈んでしまっていて、顧みられる機会はほとんどありません。

 

だからと言って「忘れられかけた者たち」は、僕にとって不必要なものだったんだろうかといえば、そんなことはありません。

歴代の推したちを追いかけているとき、その時々で僕は推していた人を一生推し続ける覚悟で(言葉にすると恥ずかしいですが)いましたし、その時に感じた喜びや楽しさや感動は、ちゃんと今の自分の一部を構成する要素になっています。

「あの日あの時あの場所で君に会えなかったら」的な東京ラブストーリー奇跡が重なって、いまの僕の幸せがあるんだなぁ……なんてことは、オタクとしての年数を重ね、ある程度の時間がたったからこそ自覚できることなんでしょうね。

この物語におけるクッキンジャーは、一時は人間たちに娯楽として消費され、そして人間や時代の変化の中で忘れ去られる側の存在として描かれています。ただ、忘れられてしまうことの悲しさだけを描くのではなく、自分たちが存在したことの意味だったり、流行り廃れの波の中でも彼らを愛し続けた人がちゃんといたことだったり、彼らがこの世界に託した希望だったり、そういう「エンタメの作り手の想い」みたいなものが垣間見えるようなお話になっていました。

この物語の中で提示されたクッキンジャーの姿と、観る側の心の中に眠っていた過去ジャンルとが結びつくことによって、このfix youのメッセージは完成するんだろうなと思いました。僕自身の話をすれば、忘れかけていた過去の推したちに対する感謝が、この舞台を通じて改めて呼び起されました。

 

コロナ禍でのボイメンからのメッセージとして

そして僕が過去の推したちに代わってボイメンを推しはじめたのと同じように、このコロナ禍のなかで、ボイメンに代わって別の人を推しはじめたという方も、当然いらっしゃるんじゃないかと思います。

とりわけボイメンの提供してくれるエンタメは、現地に行って、生でライブを浴びる形式がいちばん威力を発揮するタイプのものが非常に多いので、このご時世になったことで現場がなくなり、そこからご無沙汰になってしまった方も、それなりの数でいそうだなぁと推察します。(そのことはいつも前向きなメンバーたちも随所で零していたりして、コロナはファンが思うよりも大きなダメージを事務所に与えているんだろうなぁと思ったりもします。)

 

たぶんこの舞台は、いまはご無沙汰になってしまった方々に、ボイメンとの記憶を思い出すきっかけになってもらえたらいいなと……そういう思いも込められた作品なんじゃないかなと思ったりしました。

 ↓今回の舞台の関係はわかりませんが、既にfix youの稽古が始まってるタイミングでのエントリなので……

ameblo.jp

 

というかこれは前作の「諦めが悪い男たち」にも言えることなのですが、フォーチュンの舞台、「時間の有限性」みたいなものを物語の中に織り込むのがめちゃくちゃうまい……ボイメン兄さんたちが軒並み30代を目前にしているということもあるんだろうけど、フォーチュン所属のタレントの生き方が一見すると刹那的なように見えるということも相まって、こういう物語との相性が良すぎるというか……

 

辻本さんの役どころについて

ちなみに当方の推しの辻本さん、今回はクッキンジャーのリーダーの「ビーンレッド」という役を与えられているのですが、とにかく今回も圧倒的な「光」として君臨されています。出番自体はあんまり多くないのですが、今回のレッドみたいな役どころは、辻本さんのように「何もせずとも人の視線を集められるような」カリスマを持った人じゃないときっと務まらないんだろうなぁ……などというのはオタクの戯言にすぎませんが。

そしてこれはfix youが始まる前からご本人が言っていたことなのですが、1518を経験したあたりからつじもとさんは演劇にすごく興味を持たれるようになったようで、今回は稽古期間から他のメンバーの演技をよく見ておられたとのこと。

「諦め~」の時は諸々の事情もあり、舞台の主役は彼にとって「なんとかこなさなければいけない仕事」だったのかなぁ……などと思ったりもするのですが、今回はいち表現者として、舞台を作り上げる喜びみたいなものも、彼のコメントから感じることが出来たように思います(5月1日の夜公演が辻本さん出演の最終回になったのですが、ここで述べられた座長としてのコメントがめちゃくちゃ良いので……百聞は一見に如かずと言いますから、何卒……何卒……)

 

永遠なんて存在しない

「過去の推したち」のことを僕に思い出させてくれたこのミュージカル「fix you」は、逆説的にいま目の前にいる推したちが見せてくれる一瞬一瞬の輝きを、もっと大切にしなければいけないなと思わせてくれる機会にもなりました。

これは生身の人間を推すようになってからのことなのですが、推しも自分も含めてこの世に生きている生物すべてが、毎秒毎秒確実に老化し、死に向かって少しずつ進んでいるというすごーーーく当たり前のことが、僕にはすごく怖くて嫌でたまりません。

この世界は過去に戻れない以上、時間は過ぎ去ってしまえば取り戻すことはできず、推しも僕も「若かったあの頃」には絶対に戻れない。永遠なんてものはこの世に存在しないんだということの重みが、日に日に増して感じられるようになってきました。

 

突然に身も蓋もない話ですが、これまでの僕の推し遍歴から考えれば、今後僕が推し変をしないとも限りません。今のところはボイメンを、つじもとさんを一生推していくんだ!と思っている僕ですが、その想いを超える衝撃に出会って、彼らのことを思い出さなくなる日々が来ないと、断言することはできないはずです。

それでも……だからこそ、いまの僕が彼らから貰ったものをしっかりと胸に刻んで、目にすることのできるすべての推しの輝きを、なんとしてでもこの目に、記憶に、心に刻みつけて、今の僕が感じた喜びや楽しさや感動を、いつでも思い出せるようにしたいなと思いました。

きっとそうすることが、どこにいてもいくつになってもだれを推していても、身体を張って日々全力でエンタメを届けてくれた今日の推したちに対する、いちばんの恩返しになると思うから……。

 

↓Aコース・Bコースともに、5月6日 23:00まで購入可能です↓

www.openrec.tv