難破船まじやみの冒険

迷いながら日々生きています

叶わなかった夢が、いつか別の何かを叶えてくれる

こんにちは。お仕事が夏休み進行になり、比較的ゆったりした暮らしをしているまじやみです。

こういう時には日頃忙しくてなかなか手が伸びないあんなことやこんなことをコツコツとできるといいんですが、たまった円盤や番組の消化すらできず、無脊椎動物よろしく一日テレビを見ながら(幸か不幸かオリンピックのおかげでそれなりに暇はつぶせてしまう)ごろごろしているというのが現状です。誰か僕を叱ってくれ!

 

そんな自堕落な生活をしているまじやみですが、かねてから積みっぱなしになっていたあの本をついに読み終えました。

 

 

www.shogakukan.co.jp

 

少ハリをご存知の方からしたら「まだ読んでなかったんか!」とお思いかもしれませんが……そもそも僕のブログを読んでくれている人で、「少年ハリウッド」という作品をご存知の方がどのくらいいるんだろうか、とちょっと不安になったので、そのあたりから簡単に説明をしておこうかなと思います。

 

www.famitsu.com

 

少年ハリウッド」というと、最も有名なのは2014年夏から放送されたアニメ作品かなと思います。僕もここから入ったので。

(ちなみに以前僕が書いたブログの中でも、少年ハリウッドについてほんのり触れている部分があるので、もし気が向いたらそちらも参照してみてください)

 

mjym.hatenablog.com

 

アニメ「少年ハリウッド」について

アニメでは原宿にある劇場「ハリウッド東京」を拠点に活動する5人組のアイドルグループ「少年ハリウッド」の、グループ立ち上げから初めてのライブを行うまでの道のりを描いているのですが……一般的なアイドルアニメとこの作品が一線を画しているのは、引用した記事の中でも触れられているように「アイドルとは何か」ということについて、ひたすら考察を重ねるその哲学的な姿勢にあると思います。

 

 かつて、伝説のアイドルユニットと呼ばれた『少年ハリウッド』が活躍していた劇場「ハリウッド東京」。
彼らの解散から15年……。
劇場に集められた十代の少年達、風見颯、佐伯希星、甘木生馬、富井大樹、舞山春は、
自分達がこの先どうなるのかもわからないまま、日々レッスンにはげんでいた。
そんなある日、彼らが所属するノエルジャパンエージェンシーのシャチョウから、自己紹介の特訓をするように指示が出る。
マネージャーの勅使河原も交え、熱い指導が行なわれるが、心が折れかける者多発。
なぜなら、それは世にも恥ずかしい自己紹介だったからだ。
しかし、そんなところで、立ち止まっている場合ではないのであった。
なんと、シャチョウから、彼らは新生「少年ハリウッド」として活動してゆくことが発表されたのだ。
アイドルとして活動することを、心から喜ぶ者もいれば、嬉しそうじゃない者、
まだ何が起こっているかピンときていない者、あらゆる感情が渦巻きながら、
新生『少年ハリウッド』がいよいよ動き出す!

(公式サイト 第1話あらすじより引用 http://king-cr.jp/special/shonen-hollywood-anime/story/001.html) 

 

 この作品が放送されたのは、アニメ・ゲーム界における2次元男性アイドルブームのちょうど始まりの時期にあたります。同時期には「うたプリ」のアニメ1期が放送されており、その後さまざまな2次元アイドルプロジェクトが林立するようになっていきます。当時の僕は2次元のオタクになりたての頃だったので、2次ドルの波に乗っていろいろな作品を手当たり次第に触っていた流れで、少年ハリウッドに行きつきました。

このアニメ版「少年ハリウッド」は、その作品の持つメッセージ性から、アニメ好きの人たちよりもむしろ「ふつうのドルオタ」たちに刺さりまくっている様子がちらほら観測されています。

hitoiro.hatenablog.com

note.com

 

しかしこの少ハリ少年ハリウッドの略称です)ドルオタたちの好反応のわりに、世間的な知名度の上ではそこまで高くないんですよね……その原因は現代アニメらしくない独特な絵柄*1だったり、アイドルアニメらしくない仕掛けの多さ・細やかさ*2だったりと言われていますが、「アイドル」という職業を通じて、普通の男の子が悩み、考え、成長していく姿を描いている群像劇として、こんなにおもしろい作品はないのではないかと思っています。

というか日本の男性アイドルシーンってほとんどがJから始まるあの巨大事務所の手掛けるグループが占めているわけですが、この作中で描かれている「少年ハリウッド」というグループはどちらかというと「地下ドル」に近い立ち位置に見えますし、彼らが所属している「ノエルジャパンエージェンシー」という事務所も、外から見るとかなり怪しげな感じが漂う小規模な事務所なので、フォーチュンとかボイメンとかそういう規模感を知っているオタクたちの方が、彼らのおかれている立場とかにピンとくるんじゃないかな~などと密かに思っています。*3

 

ちなみに少年ハリウッドdアニメストアで全話見ることが出来るので!気になった方は是非見てみてね!

anime.dmkt-sp.jp

 

叶わなかった夢が、いつか別の何かを叶えてくれる

さて、あらすじなどを細かく見てくれた方はもうお気づきかもしれませんが、アニメ版で描かれている「少年ハリウッド」は、実はグループとして2代目にあたります。アニメで描かれているところから遡ること15年、彼らの先輩にあたる「初代少年ハリウッド」について描いたのが、今回僕がやっと読破した小説版の『少年ハリウッド 完全版』です。

アニメ版の中にもこの「初代」のメンバーがちょくちょく現れては、2代目のメンバーたちに助言を与える役割を果たしているのですが……この初代「少年ハリウッド」が結成される経緯を描いたストーリーの中で、個人的にいちばん刺さったのが「叶わなかった夢が、いつか別の何かを叶えてくれる」というフレーズです。

 

この言葉は、初代少年ハリウッドを立ち上げたシャチョウが作中で何度か口にする言葉なのですが、その初出を見てみましょう。

すべての人が、なりたい職業につけるわけじゃないのが世の中です。もちろん、自分の夢を叶えられる人もいるでしょう。それは、自分の夢と必要とされる場所が一致しているからです。一致しない場合は、どんなにもがいても、違う場所に連れ去られてしまう。そして、そこで生きることが役割となるんです。でも、叶わなかった夢が、今その人がいる場所に必ず光を当ててくれる。そうするとその人は、キラキラと輝きだす。しかも人一倍ね。

――橋口いくよ『小説 少年ハリウッド 完全版』小学館文庫 p.71-72より引用

 

これは鳶職の募集と勘違いしてハリウッド東京に現れたメンバーに対してシャチョウが言ったセリフなのですが……この言葉が、現在僕が推しているボイメンの辻本さんの姿にオーバーラップして、僕はまた少年ハリウッドのトラップにまんまと引っかかってしましました……。少ハリがドルオタに刺さるの、こういうところなんですよね……

 

ボイメンの辻本さん、高校時代まではバリバリの野球少年で、将来の夢はプロ野球選手!という感じのお方だったのですが、故障などもあってプロの夢を断念し、今度は教員を目指して大学進学するも、「多くの人に元気を与えたい」と、ボイメンのオーディションを受けて現在に至る……というような経歴をお持ちです。

野球に限らずスポーツ万能な辻本さんは、その特技を存分に活かして、スポーツ分野でのお仕事も多くこなされてきたのですが、最近では特に野球関連のお仕事での躍進が止まりません。地元愛知のテレビ局でのドラゴンズ中継の副音声に呼ばれたり、雑誌「プロ野球ai」でのコラム連載を持っていたり、ネット上の野球コラム「文春野球」では中日ドラゴンズのレギュラーメンバーとしてたびたび寄稿していたり……そして先月からは元中日ドラゴンズのエース、吉見一起さんのyoutubeチャンネル内のコーナーで「ボイメン辻本 130キロプロジェクト」が始まりました。

 

www.youtube.com

 

辻本さんといえば、ボイメンの活動と並行して草野球チームを5~6チーム掛け持ちし、毎朝5時から野球をしてから仕事に現れたり、雑誌のインタビューなどで「今後の夢」を訊かれると必ず「プロ野球選手」と答えたり、ドラゴンズの試合は可能な限りで全球観戦したりと、「野球好き」エピソードには事欠かないのですが……この動画を見ても、吉見さんのアドバイスをしっかりと聞いて真摯に取り組む姿勢は、今年5月に30歳になった今でも、まさに野球少年そのもの。学生時代に肩肘の故障を経験し、始球式ではたびたびご愛嬌な結果になっていた辻本さんを知っているいちファンとしては、この130キロプロジェクトによって彼の努力が報われてほしいと願うばかりです。

また、辻本さんの長年の野球に対する献身といえば、自身が主演を務めた舞台「イチゴーイチハチ」のことを抜きには語れません。故障によって野球の道を諦めざるを得なかった主人公・烏谷公志郎というキャラクター演じる上で、彼のたどってきた人生そのものが、俳優・辻本達規としての輝きを増幅させる要素となり、苦しみながらも辻本さんは大役をしっかりと務め上げられました。まさに「叶わなかった夢が、いつか別の何かを叶えてくれた」パターンだなぁと思わされました。

 

1518stage.com

 

(こちらは観劇後の僕の感想ブログです。やたらテンションが重いのはご愛嬌?)

mjym.hatenablog.com

 

 

実はまじやみ、最近少しずつ「ボイメンのオタクやってます」ってことを周りの人に公言する機会が増えてきたのですが、そうするとだいたいの場合「どんなとこが好きなの?」とか「何がそんなに好きなの?」と訊かれます。

そういう場合、たいてい相手は別にこちらに「深くて納得できる回答」を求めているわけではなく、雑談という人間同士の円滑なコミュニケーションのための話題に過ぎない……ということは最近やっとわかってきたのですが、そことは別のところで「辻本さんのどこが特別なのか」という問いに、スパッと答えられないモヤモヤに自分自身で苛まれていました。とはいえ、仕事が忙しかったり、あるいはこのご時世の中でも僕は現場に足を運ぶ機会に恵まれていたこともあったりすると、イベントや特典会を楽しむ方が優先になって、面倒くさいところには蓋をして日々を過ごしていました。なので今回、久しぶりに少年ハリウッドに触れて、じっくりと自分の中で「考える」ための時間と材料をもらえたのはすごく楽しかったなぁと思いました。

 

目の前の現象から離れて妄想に走りがちなところは常日頃から反省しないといけないなと思うのですが、アニメ版少年ハリウッドのサブタイトルにも使われている「神は自らの言葉で語るのか」という言葉を引用すれば、やっぱりアイドルというお仕事は見られてナンボ、評価されてナンボ、そして観た人に語られてナンボというところもあると思うので……。

アイドルの褒め方って顔がかっこいいとか、考え方が素敵とか、筋肉がすごいとか、歌がうまいとか……いろいろあると思うんですが、辻本さんに関して言えば「生き様」がかっこいいとでも言えばいいんでしょうか。そういうのをうまく表現する方法がピンとこなかったんですが、シャチョウのこの言葉を借りると、少しだけですがオタクの心の内を表現できるのかな~と思いました。普段から妄想癖のある僕なので、目の前の現象をひねくれて受け取ってしまわないようにと気を付けているのですが、アイドル本人の像を損ねない方向ならば、こういうめんどくさい文章もたまには書いてもいいのかなと、改めて思ったりしました。

 

あとは「じっくり考える機会」が得られたおかげで、しばらく僕の中で封印されていた自分自身の生き方についての悩みも復活してきた気配があります。僕自身はかなり影響されやすいタイプなので、昨今推したちが「変わること」に対して積極的にがんばっていこうよ!というメッセージを発しているのを見ると、なんとなく折り合いをつけてうまくやってきたように見える僕の人生も、まだ変える余地はたくさんあるよなぁ……このまま進むのはおもしろみに欠けるかもなぁ……と思ったりするのですが、それは翻って考えれば、推したちがすごく楽しそうに生きているってことの証明なのかなと思ったりもします。

いずれにせよ、そういうお話は推しについて語る用のブログでペラペラしゃべることじゃなさそうだなぁと思ったり。笑  今回もお目汚し失礼しました~。

 

追伸

てか少年ハリウッドのサブタイトルが毎回秀逸なので、おヒマならサブタイだけでも見てほしい……9話「みっともない輝き」13話「僕たちは、永遠に生まれなおせる」は1期の中でもかなりの名エピソードだったりします……ちなみに公式HPの「ストーリー」からは各話のあらすじが読めるぞ!

dic.nicovideo.jp

king-cr.jp

*1:現代のアニメにしては珍しく、少ハリでは全編にわたって手描きで制作されています。また作画コスト的に難易度の高いライブシーンも、ファンによるクラウドファンディングの力も得てしっかりと描かれています

*2:あるときは1話丸ごと音楽番組だったり、あるときは1話丸ごとメンバーが出演した特番だったり、時にアイドルたちの苦悩する姿を描き、ときにアイドルを応援するオタクの視点からアイドルを描くなど、多方面からドルオタを揺さぶってくる構成になっています

*3:ちなみに「少年ハリウッド」のプロジェクトが発足したのが2011年なので、ボイメンと少ハリってだいたい同じくらいの時期に産声を上げていることになるみたいです。ちょっと運命的な感じ。